研究概要 |
二次共生の初期段階にあると考えられるHatena arenicola(以下ハテナ)を採集するため、和歌山県の砂浜で採集を行なった。得られた細胞をマイクロピペット法により分離し、抗生物質の入った培地で数日間培養することによって,細胞に付着する細菌および食胞に含まれる餌生物の除去を行なった。その後、1細胞のハテナを用いて、全ゲノム増幅試薬により、1st・2ndの2回の反応を経て,ハテナ全ゲノムの増幅を行なった。ハテナのゲノムが適切に増幅されていることを調べるため,18SrDNAプライマーを用いて,そのクオリティチェックを行った。しかしながら,ハテナ18SrDNAの増幅が認められたサンプルは1つもなかった。そこで,ハテナ複数細胞を用いて,同様に1st・2ndの全ゲノム増幅を行った。その結果,2サンプルにおいて,ハテナ18SrDNAの配列が確認された。ハテナ18SrDNAの配列が確認された2サンプルについて,Roche Genome Sequencer FLX Titaniumを用いて,各々252,613リード,168,607リードを取得した。それぞれのリードをNewblerでアセンブルし,各々741本のコンティグ・45,704本のシングルトン,7,397本のコンティグ・52,256本のシングルトンを得た。これらの配列をBLASTxで,データベース上の配列と相同性検索をした結果,1つのサンプルは配列のほとんどがBovinにヒットし,何らかの細胞が実験過程でコンタミネーションした可能性が示唆された。もう1つのサンプルからは,ハテナおよびその共生藻と思われる配列が得られた。今回取得した配列数では情報量が少ないため,2つ目のサンプルを作ったときと同じ1st産物を使い,2nd全ゲノム増幅を行った。このサンプルを外注に出し,Roche Genome Sequencer FLX+にて,589,004リードを取得した。
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