研究概要 |
糖尿病網膜症の発症に対する血糖コントロールのリスク評価においては,発症についての区間打ち切りと,血糖コントロール指標の測定に伴う誤差(以下,測定誤差)を考慮した統計解析が望ましい、区間打ち切りとは,イベントまでの時間が観測できず,区間内の1時点においてイベントが発生しているというデータのみが得られる型の打ち切りである.測定誤差と区間打ち切りの一方を考慮した統計手法は存在するが,両者を同時に考慮した統計解析手法はこれまで提案されていない.そこで本研究では,区間打ち切りデータにおいて測定誤差を考慮する統計手法の提案を行う.具体的には,シミュレーション研究と2型糖尿病患者を対象とする大規模臨床研究のデータへの適用を通じて,提案する統計手法の評価を行う.新しい方法の提案により,糖尿病網膜症発症に対する血糖値のリスク評価において,相対リスクの推定に伴うバイアスが小さくなることが期待される.本研究では,共変量の測定誤差を考慮した区間打ち切り生存時間データの解析手法の提案を目的とした. 平成22年度は主に提案する手法のシミュレーション実験について,提案する方法の理論的根拠の提示,実行するためのプログラムの作成シミュレーション研究(提案する方法と既存の方法の比較)を行い、国際学会にて研究発表を行った.
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