新たなMRI造影剤として、化学交換飽和移動法(CEST法)を利用する高分子の設計を行い、高分子における水分子の配位環境を制御する高感度PARACEST造影剤の開発を目的とした。本研究において、新たなCEST用配位子としてDOTA(Gly(OEt))_3(CH_2COOH)を合成し、ポリエチレングリコール-ポリL-リシン(PEG-P(Lys))への結合反応条件の最適化を行った。作製した高分子PARACEST造影剤は、キレート基の導入数の増加に伴い、水中における高分子PARACEST造影剤の運動性が低下した。その結果、高分子PARACEST造影剤と水分子との間の交換反応は促進され、ラジオ波照射による飽和移動が非常に早くなってしまった。一方、水中における運動性を適切に保つ設計を行ったPARACEST造影剤は、ラジオ波の照射に伴い、飽和交換が観測された。この飽和交換反応は低分子のキレート化合物よりも、より低濃度、低いラジオ波で観測することができ、高感度なPARACEST造影剤となる可能性が示唆された。
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