研究概要 |
23年度は臨床的実現可能性のある画像デバイスを開発した.腹腔内にアクセスする方法は腹腔鏡と鉗子2本のために開けられた穴しかないと考え,これらの穴から工夫して複数のカメラや光投影装置を導入する方法を検討した.候補案として以下の4種類の手法を検討した.(1)開脚式マルチカメラ腹腔鏡(細い状態から腹腔内で傘のように展開するマルチカメラ装置),(2)カメラ付きトラカール(トラカールとは腹壁に固定して腹腔鏡・鉗子を把持する道具であり必ず利用される.このトラカールにカメラを装着する),(3)小型無線カメラ(回収可能な小型カメラを挿入し,腹壁に貼り付けて使用する),(4)小型プロジェクタ(構造光投影に特化することで超小型化を図る).試作は全て手作りで行いドライボックス実験を経て豚を使った臨床試験を行った.次に,事前に撮影された三次元形態情報であるCT・MRIと融合することで計測精度の向上を図った.CTやMRI画像に対して多臓器同時抽出手法を適用し,骨,膵臓,肺,腎臓など比較的移動や変形の少ないオブジェクトについて,三次元形状の先見情報として利用し,画像計測の結果に効果的に融合する手法を検討した.また,超音波を体側部または背面部からあてることで,腹腔内の三次元情報を実時間で取得・融合する方法も検討した. 23年度の研究成果により,腹腔内の三次元再構成を実現するためには(2)カメラ付きトラカールが最も効果的であることが判明した.
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