日本語文章を用いた縦読みと横読みに対する読書速度の低下と眼球運動の関係を、若年者と中高齢者の比較を行い検討した。加齢による読書速度の低下が確認され、その眼球運動では縦読み・横読みともsaccade幅の有意な減少が大きく起因している事が明らかとなり、読書時に必要とされる文字認識範囲(有効視野)が大きく起因している可能性が示唆された。若年者では横読みに比べ縦読みのsaccade幅が有意に減少し、これは文字認識閾値の範囲が横長の楕円であるという報告とも一致するが、中高齢者ではsaccade幅の差は示されず、加齢に伴い有効視野が狭くなり、それが眼球運動に影響しているものと示唆された。
|