研究概要 |
本研究では、次の3点、(1)中学校一斉授業のやりとりを分析し、これまで十分には検討されてこなかった生徒の自発的発話に着目しその特徴を整理分類、(2)先行研究で主に検討されてきた生徒の応答発話に加えて自発的発話の分析結果も加えた中学校一斉授業談話構造のモデルを作成、(3)同一教師によって実施された2学級における談話の差異や縦断的変容を詳述し、(2)で作成したモデルの検証と修正、を目的とした。 平成23年度は、まず、平成22年度に作成した生徒の自発的発話の内容やタイミングのカテゴリーをもとに、さらにその特徴を詳細に検討した。具体的には、一斉授業で多数生起していた自発的発話について、その生起タイミングから終結にいたるまでのプロセスを整理した。次に、小学校一斉授業における自発的発話の特徴との差異を検討し、中学校一斉授業における談話構造のモデルを検討した。最後に、2学級における談話の差異や縦断的変容を検討し、モデルの詳細化を行った。 その結果、中学校一斉授業の談話構造において次のことが明らかになった。自発的発話の生起タイミングは、小学校の授業談話分析の結果と重なるが、中学校でも自発的発話は教師のIRE(F)後に主に教師を宛先に行われる傾向がみられた。しかし、それだけでなく、生徒の自発的発話後にさらに生徒を宛先に生起する場面もみられた。さらに、授業談話における自発的発話の生起ルールについて、2学級の授業談話の比較と縦断的変容の検討をしたところ、主に2,3人の特定の子どもにより使用されていた排他的ルールと、クラスの半数近くの生徒によって広く共有され使用される共用ルールが存在していた。
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