研究概要 |
前年度までの調査結果を踏まえて、 1.補完のために国立ネルー記念図書館で雑誌ChandならびにBharat, Madhuriの追加調査を行った。その結果、著者が進めている表象研究のひとつ、移動商人コミュニティ「マールワーリー」の表象分析研究において、重要な資料を新たに入手することができた。ネガティブな表象に対する「マールワーリー」自身の反応、反論を中心とする資料を入手できたことで、研究が多面的になったといえる。この成果は『「質実剛健」あるいは「享楽豪奢」:1920-30年代北インドにおけるマールワーリー・イメージをめぐる一考察』というタイトルで論文にまとめられ、2013年2月に出版された「現代インド研究3号」に掲載された。 2.新たな調査先として、オールド・デリーに所在するマールワーリー図書館にて、所蔵調査を行った。その結果、これまでの調査先である複数の図書館で確認できていなかった雑誌が数誌(Madhuri, Sarasvati,Vishv Mitra, Vishal Bharat,Kalyan, Saritaなど )、比較的良い状態でまとまって所蔵されていることが判明した。しかしながら当館が所有する所蔵リストと実際の所蔵には相違が多々みられることも判明し、実情を把握するには、現物を一冊ずつ確認しなければならない。そのため、まず所蔵の中でも比較的良く揃っているChand誌から、一冊ずつ手にとって確認を始めた。時間の制限があったため調査が途中で終わっている状況であり、他の雑誌も同様にできるだけ継続して調査をつづける必要がある。
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