研究課題/領域番号 |
22720276
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
草野 佳矢子 北海道大学, スラブ研究センター, GCOE共同研究員 (60329042)
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キーワード | 東欧近現代史 / 西洋史 |
研究概要 |
8月まで、昨年度までに収集した関連資料の整理・検討を行った。8月末~9月半ばに、ペテルブルクに資料収集のための出張を行った。国立歴史文書館では、内務省の史料目録を閲覧し、1900~1904年の地方自治体=ゼムストヴォがかかわる地方行政分野のうち、分析対象となりうる事業を検討した。その中から、当時、それぞれ関連法律の改定作業が行われていた獣医療と地方道路の整備事業に注目し、実際にいくつかの文書を閲覧した。まず、前者に関しては、1902年に発布された疫病対策法が、ゼムストヴォ側の反対を受けて、施行が延期され、ゼムストヴォ代表や獣医師を交えた審議会が開かれ、翌年修正法が出された事案について、従来使われていなかった上記審議会の記録を発見することができた。後者の道路事業に関しては、政府高官からなる「農業の必要に関する特別審議会」の付属機関として、道路法作成委員会が設けられたが、1903年6月から翌年2月にかけて30回あまり開かれた同委員会会議の議事録の存在も確認することができた。9月出張中に、本年度は、まず疫病対策法の改定問題を中心とした獣医療分野を検討対象にすることに決め、帰国後、内務省やゼムストヴォの活動に関する、主に20世紀初頭の文献を読み、19世紀半ば~20世紀初頭の獣医療行政について把握することができた。すなわち、ゼムストヴォ制度導入後も、1879年6月のペスト感染家畜の処分に関する法律の発布までは、ゼムストヴォは獣医療にほとんど携わることはなかった。その後、徐々に、獣医師などの人員を雇用し、組織化をすすめた。しかし、その主な課題はペスト対策に限られており、その他の疫病対策や日常的な獣医療活動の発展は20世紀初頭においても進んでいなかった。2月のペテルブルク出張においても、引き続き、疫病対策法の改定問題に関する文書を閲覧し、主に国家評議会における法案審議の内容を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究にあてることができる時間が予定よりも少なくなってしまった。また、9月ペテルブルク出張時に注文した資料のコピーの到着が大幅に遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、昨年から継続している1905年革命前までの獣医療行政における内務省とゼムストヴォの関係、特に1902年6月の疫病対策法の制定から1903年の同法改定にいたる過程を19世紀末から20世紀初頭の実務的行政分野における内務省・ゼムストヴォ関係のケース・スタディとして検討し、まとめる。 その後、補足的に道路事業など、他のゼムストヴォの行政活動と内務省との関係、内務省の関連部局の組織・構成、人員などを検討し、19世紀末~20世紀初頭の内務省とゼムストヴォの関係を総括する。
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