ドイツ法では、債権者の責めに帰すべき事由による不能(ドイツ民法326条2項)における債権者の責めに帰すべき事由の意味について、それが債務者の責めに帰すべき事由と同じであるとする見解と、それよりも広いとする見解とが主張されている。同条の起草過程に遡ってこの対立を眺めてみると、債権者の不協力による債務者の履行不能は、債権者の過失(culpa)による場合と、債権者個人に生じた事情による場合とに分けられ、前者が債権者の責めに帰すべき事由による不能として規定され、後者は賃約に関する規律の中に規定されたことが分かる。
|