平成22年度は、最近約20年の米国の連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)における特許判決を調査し、提出されたAmicus Briefついてその内容をまとめ、それぞれのAmicus Brief提出者の意図を明らかにし、判例ごとのAmicus Brief提出者の意図の傾向を明らかにすることを行った。Amicus Briefというのは、裁判の当事者ではない者が、裁判に際して法的な論点などに関する意見を裁判所に提出する意見書のことである。このAmicus Briefが少なからず判決に影響を与えるとして、近年特に注目をされている。 平成22年度はまず米国の最近20年ほどの知的財産関連の判例について、Westlaw、LexisNexisで検索をして整理をしてまとめ、統計的な分析が行える形で情報を収集した。具体的には、(1)当事者(2)事実の概要と対象となっている知的財産、(3)争点の要約、(4)地裁・控訴裁・最高裁までの判決の要約、(5)Amicus Briefがそれぞれどちらの当事者を支持したかに関する数とその内容についてである。この約20年間でAmicus Brief付きの判例の総数は117件であり、総Amicus Brief数は511件である。これは、2009年までのデータであり、ここ数年で飛躍的にこの数は伸びているので2012年、2011年も含めるとまた数が増えることが予想される。 Amicus Briefを提出した機関その政府機関は多岐に及ぶが、何度も提出している機関は決まってきており、Bar Associationやそれぞれの産業分野の協会(Industry Group)など、ある一定の団体の意見がまとめて集約されてAmicus Briefとして提出されていることが多い。さらにこの数年でAmicus Briefの数が急激に伸びているが、それはCAFC(特許の控訴事件を一手に引き受ける)が判例変更を試みることが多くなっていることがひとつの大きな理由といえる。 平成23年度は、平成22年度で得られたマクロ的な視点を元に、個々の判決に関してAmicus Briefの提出者にインタビューをすることにより、ミクロ的な視点でのAmicus Brief提出者の意図とその判決に与える効果を明らかにする予定である。
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