米国の連邦巡回区控訴裁判所(CAFC)における特許裁判の中でAmicus Briefが提出されたケースについて、前年度に収集した2009年までのデータに加えて2012年3月までのデータを収集した。また、WestlawとLexis Nexis法律データベースに掲載のなかったAmicus Briefについても、CAFC図書館、ワシントンDCに所在するWashington National Records Centerにおいて収集を行った。これにより、CAFCが開設された1982年から2012年3月までの特許裁判のうち、Amicus Briefが提出されたケースに関するデータ(Amicus Brief全文も含めて)が相当な精度で集まった。特許裁判に特化したAmicus Briefの体系的なデータベースは、他に例がなくこのデータベース自体も一つの成果であるといえる。 前年度は、ある一定の団体の意見がまとめて集約されてAmicus Briefとして提出されていることが多いこと、政府機関がかなりの数のAmicus Briefを提出していること、さらにそれらの機関は繰り返し何度も類似のissueに関する裁判に提出していることなどが明らかとなった。Amicus Briefは、必ずその裁判所の代理人資格を持っている弁護士によって書かれなければならない。今年度は、Amicus Briefを提出した団体だけではなく、Amicus Briefを執筆した弁護士についても注目し検討をした。ネットワーク分析を用いてCAFCの特許裁判におけるAmicus Brief執筆弁護士を分析したところ、ある一定の弁護士がネットワークの中心に存在することが分かり、Amicus Briefを誰が実際に執筆したかということも、Amicus Briefが判決に及ぼす影響の一つである可能性が明らかとなった。
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