研究課題/領域番号 |
22730298
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
加藤 一郎 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00363713)
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キーワード | キャリア・マネジメント / 人的資源管理 / ホワイトカラー |
研究概要 |
平成23年度においては、調査協力に同意したインタビュイーに対して、述べ24回のインタビューを実施することができた。調査対象者は昨年から継続の16名に新たに6名を加えて総勢22名となった。インタビューの目的は就職のきっかけ、これまでの仕事経験、職場における研修等のあり方、仕事の中での転機とその主観的意味づけ、将来への展望などについての若年層ホワイトカラーの語りを継続的に収集することにあった。また、本研究はこれまでの離職研究とは異なり、継続的パネル調査を特徴としている。これは離職の意図がどのように形成されるのか、をリアルタイムでデータを収集するためである。これまでの調査期間に22名中9名が自発的に離職している。 社会心理学の分野におけるナラティヴ研究においては、個人の経験についての語りは、語りの機会ごとに幾度も意味形成が繰り返され、そのたびに自己が改めて形成されるという視点が重視されてきた。しかしながら、このような視点を経営学のキャリア研究に応用する試みはほとんどなされていない。それは膨大な時間と労力がかかるためであるが、その反面、そこで収集されるデータの価値はきわめて貴重である。 本研究は平成22年から23年度にかけて、若年層ホワイトカラーのうち、とりわけ女性についてキャリア初期の意味形成の変遷をとらえることに成功し始めている。調査期間中に離職の意図を形成しているもの、あるいは実際に離職した調査協力者も現れ、その意味形成の変遷は大変興味深い。 本研究は継続調査の結果から、時間を通してどのような意味形成の変化がみられるのかを明らかにする研究であり、本年は欧米におけるナラティヴ研究をレビューしたうえで、本研究から得られたデータを提示しつつ、ナラティヴ・アプローチがどのようにキャリア研究に適用可能であるかを議論した論文を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長時間にわたるインタビューにもかかわらず、調査協力者の大きな協力を引き出せているため。また、本研究が明らかにしようとしている自発的離職行動も約半数の協力者においてみられており、目的とするデータが順調に収集できている。
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今後の研究の推進方策 |
来年度も引き続きこれらの調査協力者にインタビューを続けるとともに、インタビューデータのテキスト化を急ぎ、詳細な分析の俎上にあげていく。また、新たな調査協力者についても、時間と資金の制約が許す限りにおいて獲得していく方向で研究を進めたい。
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