22年度は、次の2つの調査研究を実施する予定であった。 1.岡山県下の戦後開拓集落の現状に関する概要把握のための予備的調査 2.文献・資料に基づく歴史的な分析および情報収集 このうち1.について22年度は、岡山県の野原開拓地(新見市)、笹尾開拓地(新見市)、蒜山開拓地(真庭市)を訪ね、入植第一世代の方を中心に聞き取りを行った他、個人的に所有されている記録や資料を閲覧・収集した。また『岡山県戦後開拓史』ほか、各市町村史誌、開拓関係の記念誌などの収集を通して、各集落の歴史的な展開の概要を把握した。さらに岡山県における開拓行政の展開を、他県のそれと比較しつつ相対化するために、京都市原谷開拓地を訪ね、後継者の方に対する聞き取り、および情報収集を行った。各地域においてラポールの形成に努めた。 また2.については、戦後開拓に関する全国組織である「開拓振興協会」(東京都港区)で情報収集をした他、戦後開拓に関する史誌および先行研究の収集、また、移民・社会移動に関する社会学的研究、農業・土地制度に関する文献、地域社会の現況に関する文献のレビューを行った。なお、本研究の問題関心の背景となる高度成長期の日本社会の変容についての見解を、「高度成長期の社会保障:制度の体系化と労働市場への誘導性」という論文にまとめた(研究発表の図書欄参照)。 以上の予備的調査を通じて、23年度にはよりインテンシブな集落調査を行う予定である。
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