自発的特性推論の発達過程について,子どもと成人を対象とした検討を行った。自発的特性推論とは,努力を要しないimplicitなプロセスであり,推論を行うようにという教示や目標がなくても生じる。先行研究では,成人を対象とした検討のみが行われており,その発達過程は明らかではなかった。 本研究では,誤再認パラダイムおよび再学習パラダイムを用いて,児童276名,中学1年生205名,成人390名を対象とした5つの実験を行った。その結果,自発的特性推論が遅くとも9歳から発達することが示された。また,STIはネガティブな特性を暗示する行動から生起しやすいこと,その傾向は児童期からすでに見られることも示唆された。
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