気分障害患者のリハビリテーションに関わる医療機関の多くが、家族に対する支援を必要だと考えているにも関わらず、実施できていないという現状が明らかになった。一方、気分障害により休職中の患者の家族の多くが困難を抱えていた。共通して語られた困難は患者の症状への対処方法がわからない、家族が相談できる場所がない、自立支援などの公的制度に関する情報をどこで得られるかわからないというものであった。また7割近い患者が家族からのサポートを得ている一方で、家族によるスティグマを体験した患者も2割に満たないがおり、家族が疾患について誤った理解をしていること、患者の社会経済的な不安定さが家族との関係にネガティブな影響を与えていると考えられた。気分障害患者の治療過程のサポートにおいて家族が果たす役割は大きく、家族が抱える困難もまた大きいことが示唆された。今後、支援制度や症状の理解と対処に関する家族心理教育、家族同士が交流し、情報交換ができるグループミーティングなどが必要である。
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