| 研究概要 |
研究代表者の研究成果の一部を紹介する。
1.m-準素イデアルの第1ヒルベルト係数の挙動研究
ネーター局所環(A, m)内に於けるm-準素イデアルの第1ヒルベルト係数には,イデアルのヒルベルト函数の挙動,随伴次数環の構造といった主要な情報が内包されている。本研究では, J. EliasとG. Vallaによって与えられた第1ヒルベルト係数に関連する等式を用いて,非コーエンマコーレイ環内に於けるm-準素イデアルの特徴付けを行った。FLCを持つ環内に於いてElias-Vallaの等式を満たすm-準素イデアルのヒルベルト函数の挙動や随伴次数環の局所コホモロジ-加群の構造を決定し,その上で,基礎環がブックスバウム環であれば, Elias-Vallaの等式を満たすm-準素イデアルの随伴次数環もブックスバウム環をなすことを示している。
2.巴系イデアルのヒルベルト函数の挙動研究
巴系イデアルのヒルベルト係数の挙動には,それを含む局所環の環構造がかなり含まれていると考えられる。本研究では,局所環がFLCを持つことと局所環内の任意の巴系イデアルのヒルベルト係数の値が有限であることが同値であることを示した。さらに, FLCを持つ環内に於いて,巴系イデアルの各ヒルベルト係数の無駄のない境界値の解明にも取り組み,第2ヒルベルト係数について無駄のない上限値とその上限値をとる巴系イデアルの特徴付けを与えている。
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