研究概要 |
本年度は,次の2つの研究を主に行った。 1.半線形放物型方程式の解の特異点の除去可能性に関する研究を行った。具体的には,解が時間に関係なく原点において或る増大条件を満たせば,解は原点まで拡張可能であることを示し,熱方程式の場合に得られたHsuやHuiの結果を半線形放物型方程式の場合に拡張した。また,爆発問題に関係して,対応する積分方程式の解が局所的に有界であるための非線形指数の範囲を明らかにした。 2.有界リプシッツ領域において熱核の大域的評価に関する研究を行った。熱核は2点により決まる関数であり,境界付近での減衰の度合は領域の形状に依るため,滑らかでない領域でその挙動を捉えるのは容易ではない。楕円型の場合とは異なる補助集合を導入することで,極の固定された楕円型のグリーン関数を用いて上からと下からの評価を与えた。グリーン関数の境界減衰度を調べることで,Daviesより良い具体的評価を与えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に得た上記結果について成果発表を行う。また,議論を発展させて,領域の形状が時間に依存する場合の熱核の評価を考える。この場合,熱方程式の非負値解の境界付近での評価も問題になるため,その研究から取り組む必要がある。研究計画の変更はなく順調である。
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