本研究課題では、曲面型ナノ構造が普遍的に示す特異物性の発現機構、および系の曲面形状と特異物性との相関関係について、大規模数値シミュレーションと連続近似理論の併用による理論的解明を試みた。幾何学的な捩れや曲がりを伴う曲面型ナノ構造の内部では、系全体の幾何形状が荷電キャリアに有効電磁場作用を供する。よって、形状効果が顕著となる低エネルギー領域では、通常の平面系では実現不可能な特異な秩序相・量子輸送が発現する。このような幾何曲率・捩率に起因する異常物性の機構解明と、具体的ナノ材料に即した物性推算シミュレーションを通して、幾何形状変形を利用した新規機能性ナノ材料のデザインおよび材料合成に適する物質群の探査を行った。
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