魚類の耳石に刻まれる輪紋が日単位の成長速度指標となることを鍵として、1980~2000年代におけるカリフォルニアマイワシの成長速度履歴を個体毎に推定し、資源への新規加入量や環境条件との対応関係を検討した。カリフォルニアマイワシの稚魚初期(孵化後60~90日)における成長速度の年変化は、新規加入量および夏期における水温の年変化と正の相関関係にあった。これまで日本周辺海域におけるマイワシについて、発育初期における成長速度の速い年ほど新規加入量が多い「成長速度に依存した加入量決定仮説」が提唱されてきた。本研究成果は、カリフォルニアマイワシについても同じ仮説が適用できることを明らかにし、1990年代におけるカリフォルニアマイワシの資源量の増加は、稚魚初期に経験する水温が上昇したことによって成長速度および生残率が増加し、資源への新規加入量を増加させた結果であることを示唆している。
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