研究課題
本研究では、マウス生体肝臓への簡便な遺伝子導入システムを開発する為に次の3点を検討している。①マウス生体肝臓における簡単で効率の良い遺伝子発現システムの構築、②外来性の遺伝子(プラスミドベクター)を肝臓で持続発現させるシステムの構築、③上記結果の具体的な応用例としての、細胞破壊遺伝子の生体肝導入による肝疾患モデルマウスの作製。これ迄の検討で、ハイドロダイナミクス生体肝遺伝子導入手法(以下「HDS」)に幾つかの遺伝子導入試薬を併用すると、遺伝子発現効率が向上する事が判った(改良型HDS)。また、独自開発の生体材料の遺伝子運搬能力などを示唆するデータも得られた。そして、改良型HDSと肝臓特異的且つ強力に遺伝子発現を誘導する系(以下「ETSGE」)を組み合わせる事で、簡便で効率の良い肝臓特異的な遺伝子発現システムを確立した。また、φC31遺伝子挿入系と呼ばれる外来性の遺伝子をレシピエントマウスゲノム内へ挿入する系が静脈注射による導入で肝臓などで機能し、外来性の遺伝子の持続的発現が可能になる事も示唆された。そこで本年度は、φC31遺伝子挿入系と改良型HDSを組み合わせて上記計画②を検討し、また、細胞破壊遺伝子としてジフテリア毒素発現遺伝子(DT-A遺伝子)を用いて上記計画③を検討した。その結果、(1)φC31遺伝子挿入系は改良型HDSで機能し、外来性の遺伝子のレシピエントマウス肝ゲノム内挿入に起因する当該遺伝子の持続発現が観察できた。(2)ETSGE を利用してDT-A遺伝子を改良型HDSによってマウスへ導入する事で、肝細胞死滅に起因すると思われる肝臓の線維化所見を観察した。以上の結果から、改良型HDSによって、外来性の遺伝子を持続的に発現させるシステムの構築が可能である事、そして、これを用いる事で肝疾患モデル動物が簡単に作製でき得る事が示された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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