本研究では白色脂肪細胞の形態変化と各種遺伝子発現に対するTGFβの役割について検討し、TGFβによる大型脂肪滴減少の制御機構について検討した。マウス白色脂肪細胞由来HW11細胞株を成熟脂肪細胞へ分化させた後TGFβで刺激をすると、大型脂肪滴が激減することを見出した。このとき脂肪滴に局在するPATファミリータンパク質であるペリリピン1の発現が顕著に低下した。ペリリピン1の発現制御に関与する脂肪細胞のマスターレギュレータであるPPARγ遺伝子の発現もTGFβ刺激により低下した。また、Smad3欠損マウスMEFにおいて、TGFβによるPPARγ遺伝子発現の抑制は部分的に回復した。以上の結果から、TGF-βはPPARγ発現を抑制することでペリリピン1の発現を抑制し、脂肪滴蓄積を制御することが示唆された。
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