進行膵がんでは、悪液質を認めた患者は極めて予後不良であるが、有効な治療は確立していない。そのため、悪液質改善作用を有する抗腫瘍剤の有用性が強く示唆される。そこで、本研究は、炎症性サイトカインに着目して悪液質誘導分子を同定し、その阻害薬の開発に重要な情報を得ることを目的に行われ、A)臨床研究より抗悪液質療法に適した標的分子としてインターロイキン6(IL-6)が有力であること、B)膵がんの悪液質モデルとして膵がん神経浸潤マウスモデルが妥当であることを明らかにした。研究C)マウス悪液質モデルを用いた標的分子阻害効果の検討では、ヒトIL-6受容体の阻害により神経浸潤が抑制される傾向にあったが、悪液質抑制効果については本研究期間では充分な結果が得られなかった。
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