本研究では、ヨード造影剤・VCM・GM3類の薬剤性腎障害モデルを作成し、尿L型脂肪酸結合蛋白(L-FABP)の急性腎障害(AKI)バイオマーカーとしての有用性について検討した。ゲンタマイシン-AKIモデル・バンコマイシン-AKIについてはさらなる検討が必要であるが、ヨード造影剤(RC)-AKIモデルについては尿L-FABP増加の用量依存性が確認され、また尿細管周囲毛細血管(PTC)の灌流低下がL-FABP誘導および尿中排出亢進の要因の一つであることが示された。そして、投与後早期から鋭敏に反応するバイオマーカーとしての有用性も確認された。今後、薬剤性腎障害のバイオマーカー研究によってさらなる診断精度の向上が望まれる。
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