1.イタリア人男児外陰部異常症患者におけるESR1イントロン内微小欠失解析 日本人において男児外陰部異常症発症との関連が見出されたESR1イントロン内微小欠失がイタリア人においても男児外陰部異常症発症と関連するか否か検討するために、イタリア人男児外陰部異常症患者(停留精巣患者80例、尿道下裂患者13例)93例とイタリア人正常男性150例を対象にESR1イントロン内微小欠失解析を行った。その結果、ESR1イントロン内微小欠失がイタリア人においても男児外陰部異常症発症と関連することが明らかとなった。すなわち、ESR1イントロン内微小欠失を有するアリル頻度は停留精巣患者-対照者間でP=0.038(オッズ比1.8)、停留精巣および尿道下裂患者-対照者間で、P=0.011(オッズ比1.9)と有意に異なること、疾患発症との関連は、量的効果を検定するTrend testにおいて、停留精巣患者-対照者間でP=0.0039(オッズ比1.96)、停留精巣および尿道下裂患者-対照者間でP=0.011(オッズ比2.1)であることが判明した。 2.ESR1イントロン内微小欠失の機能解析 集積ずみの陰茎皮膚検体(尿道下裂手術検体)のうち、ESR1イントロン内微小欠失をホモ接合性に有する患者の検体およびESR1イントロン内微小欠失を全く持たない患者の検体を用いて、定量RT-PCR法により、微小欠失の有無によるESR1発現量の差異を検討した。その結果、陰茎皮膚におけるESR1発現量が非常に少なく、ESR1イントロン内微小欠失の有無によるESR1発現量の差は見いだされなかった。今後は、陰茎皮膚検体から培養線維芽細胞を作成し、エストロゲン作用を有する物質の負荷を行い、ESR1イントロン内微小欠失の有無による遺伝子発現量の差異を検討する。
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