明らかな精神・神経症状が出現してい ないヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)陽性者と健常者を対象として、神経心理検査及び頭部磁気共鳴画像(magnetic resonance imaging:MRI)検査を施行した。脳容積の検討には、 Voxel-Based-Morphometry(VBM)法を用いた。スクリーニング的な神経心理検査では両者に差異はなくても、詳細な脳機能検査となる遂行機能や行動賦活系、気分変調の面では陽性者群は低下傾向であった。頭部MRI における群間差の比較では灰白質・白質とも優位差を認めるまでには至らなかったが、HIV による神経変性である推測される所見が、後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome;AIDS)の指標疾患のひとつにな りうる可能性が示唆された。
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