本研究は、治療法が全く確立されていないスキルス胃がん等の管腔臓器の広範な浸潤性腫瘍に対し、3次元腔内モールド照射という新たな小線源治療の概念を提案し、治療法が確立されていない難治性腫瘍に対し、放射線を用いた新たな治療法の開発の基盤を作ることを目的にした。はじめに、胃壁の形状に沿わせ、かつ、大口径に膨張が可能な、これまでに例のない独自のアプリケータを開発した。このアプリケータを用いて、フィルムあるいは3次元ゲル線量計を用い、線量測定を試みた。フィルムは特性上の問題で測定が困難であったが、3次元ゲル線量計は、任意の形状に加工したゲルに放射線を照射することにより化学反応を起こし、この変化をMRIで検知することで線量分布を測定でき、有用と考えられた。しかし、胃壁から離れた場所の線量低下をに対して、今後、線源の配置法や、核種の選択など、物理シミュレーションを行う必要がある。
|