研究概要 |
治療抵抗性肝腫瘍の化学塞栓療法における標的塞栓性及び薬剤溶出性を兼備えた薬剤溶出性高吸水性ポリマー(DESAP)の開発、適正化を企図した。本年度は、イリノテカン(CPT-11)を用いてin vitroで基礎検討を行った。 高吸水性ポリマー(SAP)のCPT-11溶解液の吸収性 点滴静注用CPT-11溶解液(20mg/mL)およびそれを生食で希釈した溶解液(10mg/mL,4mg/mL)各1mLを、(薬剤吸収前)SAP10mgと配合させ、吸収率、粒径変化について検討した。CPT-11の吸収率は、吸収前後の溶液中CPT-11濃度変化をHPLCで計測し算出した。CPT-11各溶解液(20mg/mL,10mg/mL,4mg/mL)に対する、CPT-11/SAP配合比(mg/mg),15分後吸収率(%),2時間後吸収率(%),2時間後膨潤率(粒径変化)(倍)は、それぞれ、2.Omg/mg,60%,92%,2.85倍、1.Omg/mg,75%,62%,3.28倍、0.4mg/mg,49%,45%,4.87倍だった。点滴静注用CPT-11溶解液(20mg/mL)原液を用いた場合にCPT-11吸収率が上昇し、SAPの膨潤率が比較的低くなった。 以上より、溶媒に点滴静注用CPT-11溶解液(20mg/mL)原液を使用して、SAP内に薬剤を吸収させるのが適当と思われた。 今後、更なる基礎検討の継続及び動物実験による検討を予定している。
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