研究課題
基礎研究では、前年度までに行ったアクリル製で中空の球体を腫瘍モデルとして内蔵した容積測定円柱ファントム(人体模型)を用いた実験結果をまとめ、考察を加えた。腫瘍組織放射能比 Standardized Uptake Value (SUV)を利用による標的体積の輪郭描出の可能性を明らかにする目的で、F-18-フルオロデオキシグルコース(FDG)が不均一に分布している種々の状況(偏在、多層構造、他)について検討した結果、SUVによって描出される輪郭と実際の球体との不一致があることを明らかにした。この結果および複数の問題点について考察して論文にまとめ、さらに詳細について再検討中である。臨床例の検討では、頭頸部癌、悪性リンパ腫の治療前FDG-PET/CT所見と放射線治療計画における標的体積との関係についての検討を継続して行った。頭頸部扁平上皮癌の原発巣では、CT画像のみで標的決定する場合と比較するとFDG-PET/CT画像を併用する方が、標的検出の感度が高いこと、計画者間のバラつきが減ること、しかし、特異度や辺縁描出には限界があることを明らかにして、論文として発表した。悪性リンパ腫では組織型によって有用性が異なり、特に低悪性度の辺縁帯B細胞リンパ腫では、偽陰性、偽陽性等の問題点が多いが、有用な例も多く、例外的に強陽性の場合もあること、そういった例ではKi-67 Labeling Index等で評価した増殖分画が高いことを明らかにした。基礎研究および臨床研究のいずれでも、当初計画したファントム実験、臨床検討等では概ね目的を達成している。遺伝子発現との関係、デュアルソースCTと比較については、関連する動物実験、治療経過におけるCTの検討を実施しているが、FDGとの関係については今後の課題である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Radiation Research
巻: Epub ahead of print ページ: 1-8
10.1093/jrr/rrs131