鼻副鼻腔内反性乳頭腫は良性腫瘍であるが臨床的に2つの問題点,易再発性(手術切除による再発率:20%),悪性転化(扁平上皮癌への悪性転化:10%),がある。本研究は術前に易再発性,悪性転化のリスクを診断し,術式に反映させることを最終的な目標とした。血中扁平上皮癌抗原(SCCA)が内反性乳頭腫診断,再発診断に有用であった。mRNA発現のSCCA2/1比は,内反性乳頭腫と副鼻腔炎では同等であったが,副鼻腔癌で有意に高値を示し,悪性化と関連する可能性が示唆された。内反性乳頭腫手術例ではHPV陽性率は46.1%であった。内反性乳頭腫発生,癌化に,特にHPV16が関与している可能性が強く示唆された。
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