本研究は、放射線が歯根形成障害を引き起こすメカニズムを解明するため、マウス頭部に放射線を照射し、放射線被曝による歯根形成への影響を検討した。本検討により、以下のことが明らかになった。(1) 10Gy照射により生後15日齢(P15)から、20Gy照射によりP11から根尖部の組織学的形態異常がみられた。(2)照射群(20Gy)においてヘルトヴィッヒ上皮鞘細胞の動態に異常がみられた。(3)照射量が増えるにつれ根尖付近の歯髄内の増殖細胞の数が少なくなる傾向が見られた。(4)根尖付近の歯髄細胞において照射によるTUNEL陽性細胞の顕著な増加は見られなかった。本結果よりマウス頭部照射が歯根形成に及ぼす影響が明らかとなった。現在、放射線が歯根形成障害を引き起こすメカニズムの解明とその治療法の開発を行うため、さらなる検討を行っている。
|