本研究では、プレアルコホリックという状態を患者自身と同居家族はどのように認識し、その際の心身の状態はどのようなものであり、どう変化していったのかについて明らかにし、プレアルコホリックへの看護介入を行う上での基礎的資料を得ることを目的に、男性アルコール依存症患者と当時の同居家族7組、及び女性アルコール依存症患者と当時の同居家族1組に対して半構成的面接を行い、質的記述的に分析した。 プレアルコホリックは【お酒の効用を求める】、【直視し難い現実から逃れる】、【健康上の障害が出現する】という段階を経て、【飲酒への自制が利かなくなっていく】、【飲酒ですべてが変わっていく】、【お酒が麻薬のようになる】という依存的な状況へと変化していく。本研究において特に注目すべき点は、本人とその家族双方がアルコールの身体的・精神的・社会的影響についての正確な情報を有していない点であり、本人やその家族が異変を感じ、アルコールに起因する影響についての情報を得たとしてもその情報を正確に解釈することができず、症状が進行していった点である。 以上より、本研究において、アルコールの身体的・精神的・社会的影響についての正確な知識を有していないことがアルコール乱用に繋がっているとの示唆を得た。このことから、今後は知らずにアルコール乱用している者への知識の提供をしていくとともに、プレアルコホリックを早期発見し、早期に介入できるようなアセスメントスケールを作成していくことの必要性が示唆された。
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