研究課題
本研究では、近年著しい成長を遂げているドラックデリバリーシステム(DDS)の中にあって、Silicon Chemistryを鍵反応とすることで、(1)これまでナノ製剤化が困難であった水溶性の薬剤を内包する新規ナノキャリアの創製、(2)細胞内の環境変化に伴って100%の薬物を叙放可能にする"クリックリリース"システムの構築、(3)新規ナノキャリアの血中滞留性の制御、(4)新規ナノDDS医薬の治療効果について検討する。平成22年度は水溶性薬剤であるジェムザールをSiCl4とPEG、また各種添加剤を加えた反応を実施し、ジェムザールを内包するDDSキャリアの調整について検討した。その結果、添加剤としてデキストランやオリゴ糖を加えた系では粒径が80-200nmまでに制御されたキャリアを合成可能であることが見出された。また、得られたDDSキャリアはpH7.4の中性条件下では安定であるが、pH5.5の条件では速やかに加水分解され、ジェムザールを放出することを確認した。今後はキャリアからの薬物リリース挙動を勘案しながら、より収率の良いキャリアの合成条件を検討するとともに、in vitroでの毒性評価、担がんマウスを用いた血中滞留性や治療効果について検討する。また、アリムタやMEPACTなどのジェムザール以外の水溶性薬剤についても同様のキャリア化を検討する。
すべて 2010
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Polymer Journal
巻: 42 ページ: 626-631
Chemistry of Materials
巻: 22 ページ: 3441-3450