本研究は、これまで個別に扱われてきた教育と雇用の分野におけるアファーマティブ・アクション双方に焦点をあて、「多様性の管理」の言説がどのような議論のもとで大学において立ち現れたのかを考察するべく、合衆国経済界と大学との関係性について考察を行ったものである。その際、具体的な考察対象として、ミシガン大学における方策の是非を巡って争われた二つの合衆国最高裁判決と裁判所に提出された法廷助言書を扱った。その上で、多様性が様々な思惑や意図を付与されたマジック・ワード的な概念であり、その解釈いかんによって企業と大学との紐帯の強弱が規定されていた実態を明らかにした。
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