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増殖糖尿病網膜症(PDR)の線維血管膜における分子シャペロンであるalphaB-crystallinの発現および血管内皮増殖因子(VEGF)との共発現について検討した。PDR増殖膜10例と、扁平上皮癌の眼窩内浸潤にて眼窩内容除去術の際に得られた正常網膜1例を対象とした。。採取された検体をパラホルムアルデヒド固定、パラフィン包埋し、未染色標本を作製した。alphaB-crystallin、alphaA-crystallin、VEGFおよびCD-31に対する特異的抗体を用いて、免疫組織化学的検討を行い、alphaB-crystallinの発現およびVEGFとCD-31の免疫局在との関連を検討した。検討した全例のPDR線維血管膜にalphaB-crystallinの発現がみられた。alphaB-crystallinはPDR増殖膜のCD-31陽性血管内皮細胞の細胞質に局在したが、正常網膜の血管内皮細胞には発現がみられなかった。加えて、PDRにおいて、afphaB-crystallinの免疫局在はVEGF陽性血管内皮細胞に一致していた。一方、alphaA-crystallinの発現は、PDRの線維血管膜において見られなかった。alphaB-crystallinがPDRの線維血管膜に発現しており、VEGFととも新生血管内皮細胞に局在した。alphaB-crystallinが分子シャペロンとして、VEGFとともにPDR増殖膜の形成に寄与しており、将来PDRに対する治療標的となりうることが示唆された。
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