本研究は,複式学級外国語活動において,繰り返し一本案での授業による指導の効果を検証し,年間指導計画の在り方について知見を得ることを目的とした。そこで,複式学級での指導の効果を検証するために,複式学級及び単式学級において同一単元での授業を行い,事後に聞き取りテストとスピーキングテストを実施した。複式学級では,筆者作成の複式学級年間指導計画に基づいた授業(3時間),単式学級では文部科学省作成の学習指導案に基づいた授業(5時間)を行った。調査の結果,聞き取りテストでは単式学級4年生児童,複式学級3年生児童,複式学級4年生児童の得点に大きな差は見られなかった。また,スピーキングテストにおいては単式学級4年生児童と複式学級4年生児童の得点にはほとんど差はなかったが,複式学級3年生児童と,単式・複式学級4年生児童を比較すると,単式・複式学級4年生児童の方が得点が高かった。複式学級4年生児童は,昨年度も学習した単元であるため,本単元での授業時数が単式学級に比べ少なくても,多くの児童が正しく発話を行うことができたが,複式学級3年生児童にとっては今回が初めての学習であり,表現を実際に使う時間が十分でなかったため,得点に差が出たと考えられる。しかしながら,2年に渡り,スパイラルに学習を行うことで,聞き取り・スピーキングどちらにおいても複式学級4年生児童と単式学級児童の習得に大きな差が見られないことが明らかになったことから,3年生児童ももう一度繰り返し学習を行うことで,表現の定着を図ることが十分可能であるといえる。
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