研究課題
生命現象を用いたイメージについて、令和4年度は研究実施計画に基づき、以下の制作実践と成果発表を行なった。まず研究に扱う頭足類の入手先として専用の生簀を持つイカ料理専門店と交渉し、イカの定期購入が可能となった。そこで購入したイカを用いて、2022年5月に東京藝術大学大学美術館陳列館で開催された「擬風景展」にてパフォーマンスを行なった。その後も2022年8月、2023年2月にそれぞれライブパフォーマンスとしてイカを用いた作品発表を行なった。作品の制作にあたり、国内の頭足類研究者による研究会に参加し、頭足類研究の動向だけでなく、頭足類の入手先についても知見を深めることができた。作品発表と並行して、作品の背景となる理論調査を行った。W.J.Tミッチェルやハンス・ベルティングらが提唱するイメージ人類学を参照し、人間以外の生物や、技術的なネットワークなど、人間以外のアクターを伴う作品として本研究の制作実践を考察し、その成果を論文にまとめた。この成果をまとめる過程で、科学技術史、美術史において生物もしくは生命現象が扱われた事例を調査した。この成果は本研究の歴史的な位置付けを考察する上での足がかりになると考えられる。さらに音をイメージとして記録する「フォノグラフィー」の一環として、本研究課題で制作した作品を考察し、口頭発表を行った。当該発表では、音が電気信号としてイカの細胞の動きに変換されていく過程を、ステファン・ヘルムライヒの「トランスダクション」概念を拡張する一例として論じた。
2: おおむね順調に進展している
実施計画に記した内容で研究が進行しており、研究成果発表も定期的に行うことができたため。
2023年度から研究代表者の所属部局が変更となったため、研究計画の内容を一部修正する必要が予想される。実験設備や制作環境については適宜関係機関に協力を仰ぎつつ本研究課題を遂行する予定である。
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Leonardo
巻: 55 ページ: 252~257
10.1162/leon_a_02107
ISEA2022, International Symposium on Electronic Art, Barcelona. Proceedings
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10.7238/ISEA2022.Proceedings