研究課題/領域番号 |
22K00320
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
山根 由美恵 山口大学, 教育学部, 講師 (40566725)
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研究分担者 |
藤城 孝輔 岡山理科大学, 教育学部, 講師 (20887624)
内田 康 京都府立大学, 文学部, 研究員 (20929145)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 村上春樹 / アダプテーション / 世界文学 / 映画 / イラスト / 演劇 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本人以外の翻案者も関わることが多い村上春樹文学のアダプテーション(翻案)を「世界文学」という視点から捉えることで新たなアダプテーション研究の可能性を追求するとともに、村上文学の「日本」性および文化や言語を超える普遍性について討究することを目的としている。 2022年度の研究実績は以下の通りである。研究代表者(山根)は単著1冊、雑誌論文5本、学会等発表5回、研究分担者:藤城は雑誌論文4本、学会等発表5回、コラム1本、研究分担者:内田は共著1冊、雑誌論文2本、学会等発表2回である。研究協力者についても、ダルミ:学会発表2回、伊藤:学会発表3回、インタビューⅠ本、コラム2本という成果を挙げた。 研究対象は、Ⅰ:映画、Ⅱ:舞台、Ⅲ:アニメ、Ⅳ:絵本・漫画、Ⅴ:影響を受けた文学というジャンルを超えたものを措定した。2022年度は、Ⅰ「森の向う側」「神の子どもたちはみな踊る」「トニー滝谷」「踊る小人」(論文)、Ⅱ「after the quake」(論文)、Ⅲ「輪るピングドラム」(学会発表)、Ⅳ「ふしぎな図書館」「図書館奇譚」(論文)、Ⅴ鈴木清順との関係(論文)といったように、全てのジャンルでの分析を行うことができた。また、文学から文学へのアダプテーションという新しい枠組みとして、古川日出男や猪飼恭子のリミックス作品についての研究を行い、本研究の枠を広げる取り組みも行った。さらに、本研究の特徴である、世界文学との関わり・日本以外での享受に関する分析も行っており、全体として総合的な研究を推進することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究代表者(山根)は単著1冊、雑誌論文5本、学会等発表5回、研究分担者:藤城は雑誌論文4本、学会等発表5回、コラム1本、研究分担者:内田は共著1冊、雑誌論文2本、学会等発表2回を行い、当初の計画以上の成果を上げた。 三者ともこれまで研究が行われていなかった作(山根:「ふしぎな図書館」のイラスト、映画「森の向う側」、藤城「踊る小人」、内田「本のある空間をめぐる4つの断想」「after the quake」)の分析という新規開拓と、アダプテーション研究の深化という二つの方向性があり、内容的にも村上春樹アダプテーション研究の発展を伴うものであったからである。また、本研究の特徴である、世界文学・日本以外での享受に関しても分析が行えた。 更に、本科研と連動するWeb(村上春樹とアダプテーション研究会)を新設し、年度末にオンライン雑誌(『村上春樹とアダプテーション研究』)を創刊。無料公開・機関リポジトリ登録を行ったことも大きな成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度も2022年度と同様に、個々の分析を進めて行くとともに、毎月1回の研究会参加・発表および年度末の機関誌の執筆を行う。なお、各メンバーは淡江大学主催の村上春樹国際シンポジウムでの発表も決定している。 研究の方向性としては、山根・藤城・内田とも映画分析を行う。山根はアニメやアダプテーションに関わる原作分析を行う予定である。前年度に引き続き、世界文学・享受の把握とともに、内田は他作家のアダプテーション研究を行い、相対的な比較の視点を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英語論文の校正を考えていた論文が間に合わず、次年度での発表に変更したため。
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