研究課題/領域番号 |
22K00372
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研究機関 | 公益財団法人東洋文庫 |
研究代表者 |
中塚 亮 公益財団法人東洋文庫, 図書部, 奨励研究員 (60839679)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 封神演義 / 図像資料 / 中国古典小説 / 中国古典芸能 / 年画 |
研究実績の概要 |
初年度(2022年度)は、当初予定の1「『封神演義』諸版本の挿図収集」・2「年画関係資料の調査、収集」・3「目録の作成」の進行のうち、2「年画関係資料の調査、収集」を中心的に進めた。 図録等年画関係資料や年画作品を購入・調査したほか、東京大学東洋文化研究所や東京都立中央図書館をはじめとする国内諸機関および台湾国家図書館・故宮博物院図書館を訪問し、『中国古版年画珍本』等の図録調査・複写を行った。これにより、既刊の年画関係資料のうち、当初よりリストアップしていた図録類についてはおおよそ複写・調査を完了した。調査済みの年画についてはいずれも3「目録の作成」のベースとなる図像目録に反映するとともに、デジタル化も済ませている。 また、台湾での資料調査時に、あわせて行天宮などの寺廟の壁画・装飾についても調査を行い、『封神演義』を題材とした作品を多数確認した。本研究で取り扱う挿図・年画は20世紀前半までの作品が中心である一方、台湾の寺廟壁画・装飾はそれよりも時代が下るものがほとんどであるため、両者をあわせて検討することでより『封神演義』の図像化の全体像を明らかにできると期待される。この台湾の寺廟壁画・装飾の資料としての有用性が確認されたことも初年度のひとつの成果といえる。 以上の初年度の調査によって、第二・第三年度に図像資料間および小説・演劇との継承関係を検討するための基礎的な準備ができた。 なお、1の版本調査については、以上の調査を優先したために、初年度は当初予定の訪問調査は保留し、調査済み版本の確認とオンライン公開されている版本の調査を中心に行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の基礎資料となる年画関係資料のうち、既刊の重要資料についてはおおよそ調査・収集が完了した。 また、現地調査では、現代の図像化を検討する上で寺廟の壁画・装飾が重要であることも確認された。これにより、今後の研究進行において挿図・年画資料を補完する手法が確立できた。 版本挿図の調査は保留状態にあるものの、主要版本はすでに調査済みであるため、研究上大きな遅延とはなっていない。 このため、研究課題全体としてはおおむね順調な進展と評価している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、基本的には当初研究計画に沿って、1版本挿図収集、2年画資料収集、3芸能脚本の調査、4目録の作成 という4点を柱として推進していくが、初年度の台湾調査にて寺廟の壁画・装飾も、『封神演義』の図像化を考察する上で有用な資料であることが確認されたため、今後は寺廟の壁画・装飾の調査もあわせて行う。 また、コロナ禍の状況が改善され海外への渡航調査も可能になりつつあるため、中国・台湾での資料調査、年画所蔵機関の訪問調査も実施したい。 当初予定通り、この第2年度(2023年度)に基本的な資料調査・収集を完了したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初危惧したよりも図書所蔵機関の訪問調査が可能な状況となったため、特に高額図録や叢書類については訪問閲覧を優先し購入をひとまず見送った。さらに、海外との郵送状況の不安定さから海外図書・資料の輸入購入を手控えたこともあり、図書購入額が抑制されている。 また、国内・海外ともに一回ずつしか訪問調査できなかったため旅費も一部次年度への繰り越しとなった。 次年度は経費を有効に活用し、閲覧調査により重要性が確認された図録・資料を優先的に購入するとともに、国内外の訪問調査を積極的に行っていきたい。
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