研究課題/領域番号 |
22K00648
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
柳澤 絵美 明治大学, 国際日本学部, 専任准教授 (40511530)
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研究分担者 |
邊 姫京 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (90468124)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 日本語の発音練習 / 日本語の発音指導 / 自律学習 / オンライン・ツール |
研究実績の概要 |
2022年度は、「日本語発音ラボ」(以下、JPラボ)の(1)コンテンツの充実、(2)モデル音声の差し替え、(3)進捗についての学会発表を行った。詳細は以下の通りである。 まず、コンテンツの充実として、既に構築済みであった7項目の学習項目(「長音・促音・撥音」「清音・濁音」「母音の無声化」「アクセント」「複合語アクセント」「プロミネンス」「への字」)のうち、「長音・促音・撥音」と「清音・濁音」に練習問題2(語・短文・会話の聞き取り練習問題)を追加した。また、8項目目として、新たに「その他」を追加し、特定の言語母語話者にとって課題となる「ツの発音」「ラ行の発音」「拗音vs直音」「ザ行vsジャ行」についての説明と練習問題を作成・公開した。「その他」で扱うのは単音であるため、調音点などが視覚的に捉えられるように声道断面図も示した。さらに、教師向けのサポート資料や授業で使えるアイデアなどを掲載した「教室の部屋」を構築・公開した。2022年度までに構築したコンテンツは、教師が各学習項目について授業内で説明するための要点をまとめたPowerPointである「教師用スライド」、そのPowerPointの使い方をまとめた「5分キットの使い方」、説明と練習を教室で行う場合の例を示した「協働学習」、学習項目の構成について説明した「メニューの音声項目」、掲載されているモデル音声について説明した「JPラボの日本語音声」の5項目である。 次に、サイト上で聞き取り練習や発音モデルとして提供している音声をプロの声優の音声に差し替えるための音声収録を行った。音声収録には男女各1名の声優・アナウンサーの協力を得た。収録した音声はサイトの該当箇所にアップし、公開した。 最後に、JPラボの構築や進捗の報告をするために、第36回日本音声学会全国大会、および日本教育工学会2023年春季全国大会で学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に実施する研究計画として、(1)コンテンツの充実、(2)モデル音声の差し替え、(3)学会報告の3点を挙げており、その全てをほぼ予定通り実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は日本語学習者(以下、学習者)を対象にJPラボの試用調査を行い、学習者から得られたフィードバックを基にサイトの修正・改善を行う予定である。現時点では、日本語版と韓国語版のみが公開されているため、試用調査に協力してもらう学習者は、サイトに掲載されている日本語が理解できると考えらえる日本語能力試験N2以上の学習者、または、韓国語を母語とする学習者を予定している。学習者には、JPラボに掲載されている8つの学習項目全てについて練習に取り組み、課題を提出してもらう。その後、練習や課題にかかった時間、練習問題や課題の難易度、説明の分かりやすさ、練習への取り組みやすさなどについてヒアリングを行い、調査結果を基にコンテンツの追加や削除、練習問題の調整や説明・教示の改善などに活かしていく。そして、試用調査で明らかになったことやサイトの改善内容について国内外の学会や研究会で報告するとともに論文化を行う。 当初の予定では、2023年度にサイトの多言語化を実施する予定であったが、一度多言語化を行うと、その後の微調整などが簡単にはできなくなってしまう。そのため、試用調査や今後予定している日本語教師へのヒアリング調査などの結果を踏まえてサイトの改善を行い、JPラボのコンテンツが確定してから多言語化に取り組んだ方がよいと判断した。したがって、サイトの多言語化については、2024年度以降に行うこととしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、(1)サイトに掲載する音声の差し替えのための音声収録において、当初想定していたよりアナウンサーの謝金が少なく済んだため、そして、(2)当初予定していたより学会発表の数が1つ少なくなり、その分の参加費や旅費などが発生しなかったためである。 前年度から持ち越しとなった予算については、本年度実施する日本語学習者向けの試用調査の謝金、および、学会発表が採択されている国際学会への参加費や旅費などに充てる予定である。
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