研究課題/領域番号 |
22K01048
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
佐藤 英人 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (00396798)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 多拠点居住 / テレワーク / 東京一極集中 / 地方都市 / 居住地移動 |
研究実績の概要 |
研究初年度は、多拠点居住に関する先行研究を整理して、研究課題の洗い出しをおこなった。先行研究の多くがアドレスホッピングやノマドワークなどを実践する対象者から、先駆的事例を紹介しているに過ぎず、多拠点居住の一般論を析出しているとは言えない。そのため、多拠点居住の定義も統一されていないのが状況である。研究2年度に予定している多拠点居住者に対する質問紙調査と、多拠点居住者の受け入れに積極的な自治体に対する聞き取り調査に向けて、多拠点居住の定義を設定する必要がある。本研究では先行研究を参考にして、「東京特別区に主たる居住地と勤務地があり、主たる居住地以外の場所で毎月1泊以上滞在して、何らかの活動をおこなっている者」を多拠点居住者と位置づけたい。多拠点居住を実施する理由としては、①趣味や嗜好の充実、②介護や空き家の管理、③業務上の移動などが想定される。それぞれの理由に基づいて多拠点居住者の類型化を試みながら、多拠点居住が東京特別区以外の地域、とりわけ地方圏や縁辺地域にどのような効果をもたらすのか検討する。 なお、研究2年度より中村広幸氏(芝浦工業大学工学部教授)を研究分担者に迎えた。中村氏は社会情報学や情報地理学の視点から、テレワークを黎明期より研究してきた実績を持つ。本研究が対象とする多拠点居住はテレワークと密接な関係があるため、中村氏が有する専門的な知識と経験は、研究遂行上、極めて有益である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度では、多拠点居住者の基本属性(年齢、職歴、居住経歴、家族構成、住居と職場の所在地など)や、移動パターンなどを把握するために、インターネットによる質問紙調査を予定していた。ただし、質問紙調査は調査票の完成度が成否を分けるので、より慎重に作業を進める必要があることから、質問紙調査は研究2年度に先送りとした。調査票の改良に向けて先行研究の整理をおこなったり、多拠点居住に関する既存の統計をGISで可視化したりするなど、研究初年度で予定していた準備作業を着実に進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年度では、多拠点居住者に対する質問紙調査と多拠点居住者を積極的に受け入れている自治体に対して聞き取り調査を実施する予定である。各自治体が人口減少対策としての多拠点居住をどのようにとらえているのか把握するのが、聞き取り調査の狙いである。可能であれば、インターネットによる質問紙調査の中間報告を、日本地理学会などの学術大会で公表したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究初年度に実施する予定であった質問紙調査を研究2年度に変更したため。
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