研究課題/領域番号 |
22K01092
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
塚原 伸治 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30735569)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 民俗学 / 地方都市 / 商店街 / 地域活性化 / 民俗誌 / 千葉県 / 福岡県 |
研究実績の概要 |
商店街に新規出店する店が、当該地域の歴史にいかに拘束されているのかを把握することを目指して、資料調査とフィールドワークを実施した。商店街の歴史的経緯を史料によって明らかにしつつ、ここ10年間の間に新規出店した経営者を対象とする聞き取り調査をおこなった。 【史料調査】今年度は特に柳川市外に所在する史料の発掘に努めるため、福岡市、久留米市、熊本市などの各公立図書館における文献調査も実施した。特に、市町村の図書館を加えると「福岡日日新聞」の筑後地方版などの資料がほとんど欠号なく閲覧できることが判明したため、調査対象地域を拡大しながら資料調査に注力することとなった。 【現地調査】結果として、ひとことで歴史的拘束性といっても、明文化されたルールから気質や嗜好などの形で自覚化されるもの、あるいはより一般的な意味での「田舎らしさ」のようなイメージに至るまで、多様なものがみられた。それに並行して全国の特徴的な商店街に趣くことで、日本における商店街の現状を把握することにつとめた。 【理論研究】理論的な枠組みに関することとして、商店街がメンバーチェンジを繰り返しながらも一定の規制力をもった集団として機能をもっているという前提で研究を実施してきたが、本年度までの2か年の研究によって、たしかに地域に根差した強い歴史的拘束性が見られるものの、一方で、人が出入りを繰り返しながら流動性と異質性を保ちながら商店街が維持されていることにも着目すべきことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍の影響も十分に薄まり、現地調査を実施できたため。歴史的拘束性の視点から経営者に対する聞き取り調査に加え、いくつかの関連組織における参与観察を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
上に述べた通り、地方都市商店街においては、地域に根差した強い歴史的拘束性が見られるものの、一方で、流動性と異質性を維持しながら推移したことを重視する必要が浮上した。地方的な条件をもちつつ都市的な性質をあわせもつ地方都市という存在を理解するための分析枠組みを、フィールドワークと並行して検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画のうち、2月から3月にかけて実施する予定であったフィールドワークが、勤務先の業務との兼ね合いで実施できなかったため、次年度使用額が生じた。予定されていた調査は次年度に先送りすることとなったため、支出される見通しである。
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