研究課題/領域番号 |
22K01204
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高山 佳奈子 京都大学, 法学研究科, 教授 (30251432)
|
研究分担者 |
平山 幹子 関西学院大学, 法学部, 教授 (10388754)
辻本 典央 近畿大学, 法学部, 教授 (60378510)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 経済刑法 / 比較刑事法 |
研究実績の概要 |
1.定例研究会 今年度は、研究分担者を含む経済刑法研究者・実務家らによる4回の定例研究会と1回の国際シンポジウムを実施した。2023年6月18日の第1回研究会では、「誤振込みと財産犯――山口県阿武町誤振込み第一審判決の検討――」および「金商法に関する近時の裁判例について」をテーマに報告と討論を実施した。2023年9月18日の第2回研究会では、「特捜部検察官による脅迫的取調べに対する特別公務員暴行陵虐罪の成否及び起訴猶予相当を理由とする付審判請求棄却決定の問題点」および「生成型AIと知的財産法上の諸問題――刑罰の観点から――」をテーマに報告と討論を実施した。2023年12月17日の第3回研究会では、「経済刑法と経済安全保障」および「リニア談合刑事事件東京高裁判決(2023年3月)」をテーマに報告と討論を実施した。2024年3月3日の第4回研究会では、次の国際シンポジウムにおける日本側各報告の予定内容を紹介し、とり上げるべき論点を検討した。 2.国際シンポジウム 2024年3月16日に中国・河南大学に研究代表者および研究協力者らが渡航し、軽罪刑法シンポジウムでの研究報告および質疑応答を行った。全体の報告テーマは、日本側が「競争の保護と刑事法」、「経済犯罪の実質的違法性ないし『社会侵害性』について」、「日本の賄賂罪の特徴」、「経済犯罪における共犯問題」で、中国側が「経済犯罪の侵害法益」、「中国の賄賂罪の特徴」、「不法経営同類営業罪の不法判断」、「マネーロンダリング罪の最新の法改正と適用」である。中国側からは、武漢大学法学院出身者を中心に、パネリストだけで7大学からの参加があり、活発な議論が行われた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.定例研究会については、1年度あたり4回を目安として予定しており、計画どおりに開催できた。 2.国際シンポジウムは、年度の前半に1回開催する予定であったが、コロナ禍後の中国政府の入国ビザ(コロナ禍前はそもそも不要)発給予約枠が一部業者により埋まってしまったため長期間の待機が必要になり、予約制度が撤廃される前の開催ができなくなった。年度内に開催ができたものの、延期の影響を受けて他の新しい学術研究集会が次年度以降の開催に繰り延べられた。
|
今後の研究の推進方策 |
1.定例研究会は2024年度も4回程度開催する予定である。 2.2024年度前半に、中国全土の刑法学会に相当する中国刑法学研究会と共同して国際シンポジウムを開催する。 3.研究成果を中国で出版する準備を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
中国のビザ政策の変更に伴い、学術交流ビザの取得に長期間を要することとなったため、当初予定よりも国際シンポジウムの遂行時期を送らせた。この問題は2024年以降はほぼ解消しているので、次年度に対面開催のシンポジウムを実施する。
|