研究課題/領域番号 |
22K01513
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研究機関 | 広島修道大学 |
研究代表者 |
黒阪 健吾 広島修道大学, 経済科学部, 准教授 (60712049)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 農地集約 / マッチング理論 |
研究実績の概要 |
盛岡市と共同研究契約を結び盛岡市都南地区で実証実験を実施した。実験には岩手県盛岡市で耕作している16の経営体(農家)が参加した。参加者はPC端末からウェブアプリにアクセスし、2023年11月14日から12月14日の間に、令和4年度の実験と同様に、耕作意向情報を「耕作したい」農地や「耕作したくない」農地として申告した。その後、各参加者から受け取った耕作意向情報をもとに、マッチングアルゴリズムを用いた農地の集約案を作成した。 実験では参加者が耕作している839筆のうち、参加者は「耕作したい」農地として113筆、「耕作したくない」農地として122筆の計235筆を申告した。そのうち、アルゴリズムにより56組の農地についてマッチングが成功した。具体的には、「耕作したい」農地の入手成功率が49.6%、「耕作したくない」農地の放出成功率が45.9%となった。作成した農地の集約案のもとでは団地数が5.1%減少し、平均団地面積は5.4%増加することが明らかになった。また、アンケートに回答した14名のうち全員が集約案への満足度を10点満点中5点以上とし、うち2名は10点とするなど高い評価を得ることができた。 また、集約案に沿った形での農地集約が農家の作業に与える影響について検証するため、まずは事業実施前にGPS端末を用いて参加農家の作業記録の収集を開始した。今後、事業実施後にも同様の作業記録を収集し比較することで、マッチングアルゴリズムを用いた農地集約の有効性について検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に実施した実証実験の反省を踏まえ、耕作意向情報の収集方法や使用するアルゴリズムを改善したうえで集約案を作成したところ、参加農家からの高い評価を得ることができた。また、集約案の有効性をより客観的に評価するために、GPS端末を用いて参加農家の作業記録を収集することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度にも新たな地区において実証実験を実施するため、盛岡市と共同研究契約の締結に向けた調整を行なっている。また、令和5年度の実証実験で作成した集約案が農家の作業に与える影響について、GPS端末を用いた作業記録の収集を引き続き行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実証実験に用いるウェブアプリに不測の事態が生じた場合に備えて、メンテナンスに必要な費用を確保する必要があると判断したため、物品費や旅費を抑えて支出を最低限とした。繰り越した研究費については引き続きサーバー代などウェブアプリの維持費用に充てる他、最終年度となる令和6年度の実証実験に用いるウェブアプリの改修費用や、GPS端末を用いた農作業の計測に対する謝金に支出する予定である。
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