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2022 年度 実施状況報告書

マーケティング・アジリティを補完するマーケティング活動のダイナミズムの探索的研究

研究課題

研究課題/領域番号 22K01745
研究機関神戸大学

研究代表者

吉田 満梨  神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (30552278)

研究分担者 栗木 契  神戸大学, 経営学研究科, 教授 (90294397)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードマーケティング・アジリティ / センスメーキング / マーケティング意思決定 / エフェクチュエーション
研究実績の概要

本研究の目的は、企業の特定の活動領域へのマーケティング・アジリティの導入が、他のマーケティング活動の諸要素との相互作用を通じて、どのように市場成果を生み出すかについて、複数の企業事例の分析を踏まえて、そのダイナミズムを検討することである。
三年間の研究期間を通じて、a)マーケティング論にとどまらないアジリティ及び関連概念についての理論的検討、b)マーケティング・アジリティを補完するマーケティング要素間の関係を捉える分析視角の明確化、c)マーケティング・アジリティを導入した企業の比較事例研究を研究期間内に達成する三つの活動と位置づけて取り組む予定である。
初年度となる2022年度は、市場の予期せぬ反応や進展を感知してフィードバックを行い、素早い修正を繰り返すアプローチの有効性が、マーケティング論のみならず、各種の製品・サービスや事業の開発や設計といった領域やアントレプレナーシップの領域(Sarasvathy 2008, Read et al. 2009)でも研究されてきたことをふまえ、マーケティング論にとどまらないアジリティ及び関連概念についての理論的検討を通じて、先行研究におけるアジリティを重視するアプローチの特徴と意義を検討し、各研究の位置づけを整理することに注力した。
その成果は、マーケティング学会をはじめとする学会での論文、学会報告、書籍への寄稿を通じて発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

市場の予期せぬ反応や進展を感知してフィードバックを行い、素早い修正を繰り返すアプローチの有効性は、マーケティング論のみならず、各種の製品・サービスや事業の開発や設計といった領域で研究されてきた。同様の着眼による研究は、アントレプレナーシップの領域でも進んでいる(Sarasvathy 2008, Read et al. 2009)。
初年度は、マーケティング論にとどまらないアジリティ及び関連概念についての理論的検討を通じて、先行研究におけるアジリティを重視するアプローチの特徴と意義を検討し、各研究の位置づけを整理することに注力する計画はおおむね達成できた。その成果は、日本マーケティング学会での論文・学会発表をはじめ、適宜発表を行い、研究者コミュニティからのフィードバックを得ながら、解釈と理解の精緻化を進めている。

今後の研究の推進方策

二年目は初年度における先行研究の整理を踏まえ、b) マーケティング・アジリティを補完するマーケティング要素間の関係を捉える分析視角の明確化を行い、c)マーケティング・アジリティを導入した企業の比較事例研究に着手する。b)に関しては、アジャイル型の開発という、フィードバックに基づく継続的な修正を行う開発の導入が、市場調査のあり方、営業や広告・広報といった顧客とのタッチポイントの設定、価格政策のあり方等、他のマーケティングの諸要素にどのような変化を求めることになるのかについて、先行研究を踏まえて論理上整合的な関係の検討を進める。c)では、製品・サービスの開発においてアジャイル重視のアプローチを採用した複数企業を対象に、公刊資料等の二次データ、社内の担当者等に対するインタビュー調査等による一次データの収集と分析を行う。事例研究の対象企業の選定においては、従前より長期にわたりマーケティング・アジリティを重視したアプローチを展開してきた企業ではなく、ある時点でマーケティング・アジリティを重視するアプローチを導入したことで、市場成果の実現に至った企業を対象とする。

次年度使用額が生じた理由

当初計画では、初年度は文献レビューに加えて2年目以降に実施する事例研究の資料収集にも着手できることを期待し、そのための関連文献購入費用を計上していたが、経験的研究を十分にスタートすることができなかった。次年度の経験的研究は、当初計画通りのスケジュールで進めるつもりである。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 市場機会が創造される 3 つのパターンと 2 つの論理2022

    • 著者名/発表者名
      吉田満梨
    • 雑誌名

      一橋ビジネスレビュー

      巻: 70(1) ページ: 86-95

  • [雑誌論文] 新しい製品・サービスの開発を通じた市場機会の創造2022

    • 著者名/発表者名
      吉田満梨
    • 雑誌名

      一橋ビジネスレビュー

      巻: 70(2) ページ: 94-103

  • [雑誌論文] 起業家による機会の認識を通じた市場機会の創造2022

    • 著者名/発表者名
      吉田満梨
    • 雑誌名

      一橋ビジネスレビュー

      巻: 70(3) ページ: 86-95

  • [雑誌論文] 対象に価値を見いだす人々の創出による市場機会の創造2022

    • 著者名/発表者名
      吉田満梨
    • 雑誌名

      一橋ビジネスレビュー

      巻: 70(4) ページ: 130-140

  • [雑誌論文] インターナルブランディングをテコとした不祥事からのビジネスモデルの転換-アクサス株式会社-2022

    • 著者名/発表者名
      栗木契・本庄 加代子
    • 雑誌名

      マーケティングジャーナル

      巻: 42(2) ページ: 63-72

  • [雑誌論文] イノベーションを活性化するマーケティング・リサーチ2022

    • 著者名/発表者名
      栗木契
    • 雑誌名

      国民経済雑誌

      巻: 226(6) ページ: 49-65

  • [雑誌論文] デジタル時代に求められる実験発想のマーケティング2022

    • 著者名/発表者名
      栗木契
    • 雑誌名

      季刊ひょうご経済

      巻: 155 ページ: 12-13

  • [雑誌論文] 目標の柔軟な見直しから生まれたアスクルの飛躍2022

    • 著者名/発表者名
      栗木契
    • 雑誌名

      季刊ひょうご経済

      巻: 157 ページ: 12-13

  • [学会発表] マーケティング研究における2つの制度論2022

    • 著者名/発表者名
      吉田満梨
    • 学会等名
      2023年度組織学会年次大会
  • [学会発表] アドバンス・ケア・プランニングにおけるエフェクチュエーションの適応可能性2022

    • 著者名/発表者名
      角田ますみ・吉田満梨
    • 学会等名
      第 34 回 日本生命倫理学会 年次学会
  • [学会発表] 小売企業の国際化に伴う不確実性とエフェクチュエーション―FLO Optics Pte. Ltd.の事例から2022

    • 著者名/発表者名
      吉田満梨・渡辺紗理菜
    • 学会等名
      日本マーケティング学会 マーケティングカンファレンス2022年

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公開日: 2023-12-25  

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