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2022 年度 実施状況報告書

内部監査の質の決定要因

研究課題

研究課題/領域番号 22K01787
研究機関高知工科大学

研究代表者

上村 浩  高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (10710189)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード内部監査 / Control Self-Assessment / 統制リスク / 監査報酬
研究実績の概要

本研究は、外部監査に対する内部監査機能(IAF)と制自己評価(CSA)の有効性を検討するものである。ここでCSAとは、業務レベルの管理者に内部統制のモニタリングの責任を負わせるモニタリング・システムである。1987 年、Gulf Resources Canada Ltd. (カナダ、アルバータ州カルガリー)は、内部監査の高度化と効率化の観点から、CSAを考案した。彼らは、内部監査や統制の質を判断するために、従業員のグループに対して同時にファシリテーテッド・セッションでインタビューを行い、大企業全体で多数の部門監査を行う際に非常に有効であることを発見した(Tritter、2000)。一方で、CSAは、自部門の統制の評価に部門管理者や従業員が関与することから、監査の独立性の観点から問題があるとの指摘もある。すなわち、管理職や従業員から提供される情報の信頼性が問題視されているのである。
このような背景から、本研究では、IAFおよび内部監査におけるCSAの利用と外部監査報酬の関連性を検証した。本研究の結果、内部監査部門の規模と内部監査予算は監査報酬と正の相関を有することが示された。一方、CSAの利用継続期間は監査報酬と負の相関があることが示された。さらに、CSAのモニタリングの具体的な範囲や、CSAの内部統制の改善活動への繋がりが、監査報酬の低減につながることも示された。以上のことから、本研究の結果は、CSAによって内部統制の質を保証するための外部コスト(監査報酬)を低減できることを示唆している。これは、CSAによって内部統制上の不備に関する情報が組織で共有され、改善されることによって統制リスクが低減している可能性があることを示唆している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在まで、研究はおおむね順調に進んでいる。上場企業を対象としたサーベイ(質問調査紙を用いたアンケート調査)の結果に基づき、分析用のデータセットを確立し、これを統計的に分析した。分析結果は論文の形にまとめられ、これを今春、国際学会に提出した(採否の結果は7月)。また、第2回のアンケート調査のためのブラッシュアップも概ね終了している。ただし、今年度中に終了予定であった、次年度サーベイのためのパイロットテストが終了しておらず、その意味から「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

今年度は、100社程度を対象にパイロットテストを実施し、これに基づいて「第2回のアンケート調査(本調査)」を実施する予定である。この結果は今年度末に論文の形にまとめる予定である。またこれと並行して、現在内部監査、特にCSAと統制リスクとの関係を検証するための実験研究のフレームワークを構築している。これについては今年度中の実施を計画している。

次年度使用額が生じた理由

今年度末に、次年度行うアンケート調査の予備調査を行う予定であったが、これが年度中に完遂できず、次年度に行うこととなった、

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公開日: 2023-12-25  

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