2年目であることから、政府の統計資料及び論文をさらに精査し、くわえて聞き取り調査を行うこととした。 日本に関しては、外国人支援組織を訪問し、外国人労働者のなかでも技能実習生の脱退一時金の受給などについて聞き取り調査を行った。 台湾については、まず、立法院(国会に相当)の議事録の検討をとおして、外国人労働者への社会保障制度の適用の可否を調査することとした。ついで、今年度は訪台することができたため、衛生福利部(我が国の旧厚生省に相当)に外国人労働者への適用について尋ねたところ、労働者でない者が加入する国民年金(國民年金)のように、財源の点から制度によっては外国人には適用していないものもあるとの回答があった。これまでの調査から、台湾政府は、基本的には、制度の性質(医療や労災といった、労働者にとって必要性が高いか、強制加入の退職金〈勞工退休金〉などの長期保険か国民健康保険〈全民健康保險〉のような短期保険か)や在留資格(台湾人と婚姻し、一定程度長期間滞在する見込みがあるか、永住資格を有するか否か)を考慮した上で、適用のあり方を決定していることがわかった。 さらに、日台ともに外国人労働者受入れ政策が大きく変わりつつあることから、社会保障制度適用のあり方がどのように変わるのか注視することとする。具体的には、日本においては、特定技能2号の受入れ対象分野の拡大がすでになされ、今後、技能実習制度の廃止・育成就労制度の創設が予定されている一方、台湾でも、2022年4月に6年以上在台し、介護等に従事した者が同人材に転換以後、5年経過すれば永住資格申請ができる「中程度の技術を有する外国人材(外國中階技術人力)」が創設された。
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