研究課題/領域番号 |
22K02019
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
吉村 輝彦 日本福祉大学, 国際福祉開発学部, 教授 (80434611)
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研究分担者 |
平野 隆之 日本福祉大学, 社会福祉学研究科, 教授 (70183580)
穂坂 光彦 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 研究フェロー (10278319)
小國 和子 日本福祉大学, 国際福祉開発学部, 教授 (20513568)
小木曽 早苗 日本福祉大学, アジア福祉社会開発研究センター, 客員研究所員 (70728154)
朴 兪美 日本福祉大学, 権利擁護研究センター, 客員研究所員 (10533383)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 開発福祉 / 地域共生 / マネジメント / プロセス / メタ現場 / 場づくり / エスノグラフィー |
研究実績の概要 |
本研究は、「制度の不全・不在・喪失・不達」等の問題に対する「開発福祉アプローチ」に関わり、国内外のフィールドワークや研究会等様々な機会を活用した検討を通して、開発福祉の実践事例の取り組みやそのプロセス、そして、当事者や支援者の関わり方を整理し、合わせて、開発福祉アプローチのマネジメントを担う人材育成の理論的・方法的基礎を築くことを目指している。これまで研究対象としてきたフィールドの継続的な定点観測に加えて、社会状況の変化に伴う新たなフィールドの開拓も進めていくとともに、研究者と実践者(現場の支援ワーカー)とが協働するリフレクティブな「メタ現場」を構築しながら、議論を進めてきた。 コロナ禍が続く中で、フィールドワークは限定的であったが、オンライン形式での研究会を含めて様々な機会を活用して議論を進めた。多様な場での議論を通して、開発福祉の推進に向けた、開発福祉のプロセスの実相を捉えるとともに、多面的な視点を持ち合わせながら、地域共生に向けた拠点や居場所づくり、多様な人々を包摂する多彩なプログラムづくり、地域資源を生かしたコミュニティの支え合いやその働きかけ等、開発福祉アプローチのマネジメントのあり方の議論を行ってきた。合わせて、大学院の履修証明プログラムを「メタ現場」の一つとして位置づけ、より広い視野から開発福祉マネジメントの実情を検討してきた。一つの整理として、開発福祉のマネジメントを担う人材は、Reflective Practitionerと捉えることができる。さらに、こうしたフィールドと「メタ現場」の往還を実践者とともに、記録、考察するプロセス自体を「開発福祉エスノグラフィー」実践として捉えることで、それを方法論化していく際の示唆や論点が見えてきた。 研究成果は、論文としての学会発表や既存のリカレント教育のプログラムへの反映等をしていくことで、発信した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において、「開発福祉」とは、地域における共生志向の生活と生計の維持再生メカニズムを、住民が支え合って制度を越えてつくり出すプロセスであり、また、それを促進する支援アプローチを指す。国内外のフィールドワークを通して実践事例を整理し、また、研究会等での検討を通じて、開発福祉のプロセスを具体的な事例から明らかにするとともに、特に開発福祉アプローチのマネジメントを担う人材育成の理論的・方法的基礎を築くことを目指している。その際、研究者と現場の支援ワーカーとが協働するリフレクティブな「メタ現場」を構築することで、本研究の実践性を高めていくことも目指している。 コロナ禍が続く中で、フィールドワークは限定的であったが、オンライン形式での研究会を含めて様々な機会を活用して議論を進め、合わせて、大学院の履修証明プログラムを「メタ現場」の一つとして位置づけ、より広い視野から開発福祉マネジメントの実情を検討してきた。こうした多様な場での議論を通して、開発福祉の推進に向けた、開発福祉のプロセスの実相を捉えるとともに、多面的な視点を持ち合わせながら、地域共生に向けた拠点や居場所づくり、多様な人々を包摂する多彩なプログラムづくり等、開発福祉アプローチのマネジメントのあり方の検討を行ってきた。さらに、こうしたフィールドと「メタ現場」の往還を実践者とともに、記録、考察するプロセス自体を「開発福祉エスノグラフィー」実践として捉え、それを方法論化していく際の示唆や論点が見えてきた。 このように、コロナ禍が続く中で、研究は一定程度進めてきたが、予定していた国内のフィールドワークや研究会等の開催が影響を受けざるを得なかったため、進捗状況としては、「おおむね順調に進展している」とする。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、「制度の不全・不在・喪失・不達」等の問題に対する「開発福祉アプローチ」に関わり、実践事例を整理し、国内外のフィールドワークや研究会等様々な機会を活用した検討を通して、開発福祉の実践や支援ワークのプロセスがどのように生成してきたのか、その構造と機能を描き出し、合わせて、開発福祉アプローチのマネジメントを担う人材育成の理論的・方法的基礎を築くことを目指した。 2022年度は、コロナ禍が続く中で、フィールドワークは限定的であったが、オンライン形式での研究会を含めて様々な機会を活用して議論を進め、実践事例の整理や枠組みの構築を含めた一定の整理を進めるとともに、開発福祉アプローチのマネジメントのあり方の検討を行ってきた。 今後は、フィールドの継続的な定点観測に加えて、引き続き、社会状況の変化に伴う新たなフィールドの開拓も進めていく。また、研究者と実践者(現場の支援ワーカー)とが協働するリフレクティブな「メタ現場」を通して、Reflective Practitionerとしての開発福祉のマネジメントを担う人材のあり方、そして、「開発福祉エスノグラフィー」実践としてのあり方を検討していく。 加えて、研究成果の対外的な発信のために、各関連学会での発表を積極的に行うとともに、大学院の履修証明プログラム「地域再生のための『福祉開発マネジャー』養成プログラム」や大学院国際社会開発研究科の「スクーリング・プログラム」等、既存の大学院レベルのリカレント教育の豊富化にも資するように、研究成果を還元させ、引き続き、研究と教育の意識的な相乗効果を探求していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍が続く中で、2022年度は、国内のフィールドワークは限定的にしか実施できなかったことに伴い、旅費の支出が減額となった。また、研究会等の開催も、同様に実施回数が減ったため、そして、オンライン形式で実施したため、交通費や謝金の支出が減額となっている。一方で、既存の大学院レベルのリカレント教育のプログラムも活用していく中で、様々な実践事例からの学びや理論的な検討を中心に、実践事例の整理や枠組みの構築を含めた一定の検討を進めてきた。 次年度においては、国内外のフィールドワークや研究会(対面形式あるいはオンライン形式)等を通して、具体的な検討を進めていく予定である。 また、研究成果の対外的な発信のために、各関連学会参加や学会発表については、積極的に行う予定である。
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