今年度は,昨年度開発した「保育室内における0‐1歳児の危険行為場面を体験できるVRを活用したプログラム」の効果を測定することが目的であった。 この目的を達成するために,今年度は2つの調査を行った。1つは,リスク認知の重要な要素の1つであるリスク感性を客観的に評価するために尺度を開発した。具体的には,1334名の保育学生を対象に調査を行い,因子的妥当性を検討したところ,妥当性と信頼性が十分に担保された6下位25項目から構成される尺度を開発した。2つ目は,「保育室内における0‐1歳児の危険行為場面を体験できるVRを活用したプログラム」を48名の保育学生に体験してもらい,その際の脳波(α波・β波)と,臨場感・主観的評価尺度を用いてプログラムの効果を検討した。その結果,危険場面体験時には,安静時と比較してα波は減衰し,β波が増幅した。また,臨場感・主観的評価尺度においては,いずれの因子ならびに項目で中立的な値と比較して有意に高い値を示した。
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