研究課題/領域番号 |
22K02485
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
中地 文 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (70207819)
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研究分担者 |
藤本 恵 武蔵野大学, 文学部, 教授 (00381707)
土居 安子 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団, その他部局等, 総括専門員 (00416257)
遠藤 仁 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (20160400)
大木 葉子 東北工業大学, 総合教育センター, 准教授 (30802251)
児玉 忠 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (50332490)
宮田 航平 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 准教授 (50802203)
宮川 健郎 一般財団法人大阪国際児童文学振興財団, その他部局等, 特別専門員 (80166123)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 国語科教材 / 伝統的な言語文化 / 童話 / 童謡 / 児童文学 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、第一に「近代童話/童謡」の文芸的特徴を確認し、国語科教材としての今日的意義・有用性を明らかにすること。第二に、教材史の調査をしたうえで、過去に教材化された「近代童話/童謡」の現代的な活用の検討をするとともに、新教材を発掘すること。そして第三に、「近代童話/童謡」教材を分類・整理・体系化し、小学校・中学校・高等学校での有効な活用に向けた提案を行うことである。第一年目にあたる2022年度は、「近代童話/童謡」の文芸的特徴の確認に力を注ぐとともに、1949年から2020年までの小学校国語教科書に掲載された「近代童話」の調査を行った。また、過去に教材化された近代童話として小川未明の「野ばら」を取り上げ、その現代的な活用に関して研究討議を行った。 近代童話の文芸的特徴の究明にあたっては、近代から現代への流れの検討や、「現代児童文学」が「近代童話/童謡」から引き継いだものの確認、「現代児童文学」と「近代童話/童謡」との違いの確認にも積極的に取り組んだ。現代児童文学としては、「あまんきみこ」「宮川ひろ」の特徴を検討したが、その成果は「近代童話/童謡」の行方の探究につながるものと考えている。 小学校国語教科書に掲載された「近代童話」の調査に関しては、未確認のものを残しているものの、まずは26作家125作品をリスト化することができたが、何を「近代童話」とみなすかという課題も浮上してきている。 1959年から1989年までの間に小学校国語教科書に掲載されていた教材「野ばら」については、その文芸的特徴が戦争を語るのに適切といえないのではないかという問題を、検討課題として改めて認識した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の具体的な調査・検討課題は次の五つである。①「近代童話/童謡」の教材史の調査、②「近代童話/童謡」の文芸様式としての特徴の把握、③過去に教材化された「近代童話/童謡」の現代的活用の検討、④新教材の発掘、⑤「近代童話/童謡」教材の分類・整理・体系化。2022年度は、このうち①②③に取り組むことができた。 さらなる検討課題も浮かび上がってきてはいるが、小学校国語教科書における「近代童話」教材の掲載状況は確認した。また、現代児童文学とのつながりと相違の検討から「近代童話/童謡」の文芸様式としての特徴を把握した。成果の一部を公開することもできたので、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究で浮上してきた「近代童話」の定義の問題を再検討したうえで、今後、「近代童話」の教材史の整理・教材価値の検討をさらに進めるとともに、「近代童謡」についても教材史の確認・整理や教材価値の検討を進めていく。それを踏まえて、過去に教材化された「近代童話/童謡」の現代的活用の検討へと研究を展開させ、さらには新教材の発掘にも取り組みたい。 「近代童話/童謡」の文芸様式としての特徴の把握に関しては、2022年度に力を注いだ現代児童文学との相違の解明も継続しつつ、「近代童話/童謡」の主要な作家の作品や過去に教材化された作品に焦点を当てた検討も行っていく。 研究推進の方法としては、以上の課題を研究メンバーで分担して検討・探究し、オンライン研究会を通して成果を共有しあい、学会での発表にむけて個々の成果を練り上げたうえで総括する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者全員での研究会合を持つつもりで予算計上していたが、コロナの流行を警戒してオンラインの研究会としたため、次年度使用額が生じた。また、同じ理由で、資料収集のための出張を控えたことも、次年度使用額が生じた理由となっている。 次年度以降は、資料収集の遅れを取り戻すため、人件費も活用したい。研究会は、オンラインでも十分な成果が上げられることが確認できたので、基本的にはオンラインで続けるが、資料や動画等も共有して有意義な情報共有・研究成果共有ができるように機器を整え、記録メディア等も準備したい。研究分担者それぞれが個別に行う調査・検討と、その成果の共有のために費用を充て、当初の研究目的や到達目標を実現したいと考えている。
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