研究課題/領域番号 |
22K02699
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
近藤 睦美 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (20467533)
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研究分担者 |
宮尾 万理 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (50851002)
東 自由里 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (80269795)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | クリティカル・シンキング / 大学英語教育 / 国際バカロレア教育 / 大学入学共通テスト / 高等教育の国際化 / 高等教育の国際水準化 |
研究実績の概要 |
本研究は、クリティカル・シンキング(CT)育成を大学英語教育の目標に加えることで、一般教養課程の質転換を促すことを目的としている。研究期間1年目(令和4年度)は、2年目の実地調査、最終年度の具体案の策定に向けた準備期間と位置付けて研究を遂行した。具体的には、(1)CTに関する文献調査、(2)大学共通テスト(英語リーディング)が測る思考力の分析、(3)国際バカロレア(IB)教育におけるCT育成に関する調査、(4)高等教育における国際化・国際水準化に関する調査を中心に進めた。 (1)CTに関する文献調査:CTに関して、その定義に関する歴史的な変遷、21世紀スキルにおける位置付け、日本および諸外国のCT育成の取り組みについて文献調査と検討を行い、成果の一部を取りまとめて公表した。 (2)大学共通テスト(英語リーディング)が測る思考力の分析:2021年・2022年に実施された大学入学共通テスト(本試験)の英語リーディングテストが測る思考力を、「改訂版タキソノミー」(Anderson & Krathwohl, et al., 2001)を用いて分析した結果を研究論文にまとめ公表した。 (3)IB教育におけるCT育成に関する調査:批判的思考育成を主目的とする授業「知の理論(TOK)」における指導課程や指導法について、文献調査および文部科学省主催のIB推進シンポジウム、IB導入校での公開授業を通じて知見を深めた。 (4)高等教育における国際化・国際水準化に関する調査:国際化・国際水準化を進める大学5校(国際教養大学、金沢大学、国際基督教大学、立教大学、成蹊大学)の国際化・国際水準化に向けた取り組み、およびCTの概念をどのように捉えているのか、また実際の取り組みを調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で予定している3つの取り組み(①高等教育におけるCTの開発と定義の精緻化、②高大接続という視点からみた大学入学資格試験の水準と大学一般教養課程英語の整合性の検証、③CTをベースとした大学英語テキストのレベル別・スキル別特質の類型分析)を2年目以降に進める上で、必要な基礎研究が進められた。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の基礎研究を元に、最終年度の具体案の策定に向けて、より具体的な調査・研究を推進し、成果公表の準備を進める。①高等教育におけるCTの開発と定義の精緻化に関して、当初の計画では、CT育成の領域で先駆的なカリフォルニア州立大学システムの実態調査を予定していたが、近年様々な取り組みを積極的に公表しているアジアの高等教育機関(例:シンガポール国立大学、香港大学など)の実態調査に変更する。現在、12月にシンガポール国立大学で開催される、The Higher Education Campus Conference (HECC)2023参加を計画している。③CTをベースとした大学英語テキストのレベル別・スキル別特質の類型分析に関して、類型分析を進めその成果公表を行う。また、これまでの研究成果のまとめとして、CT育成と大学英語教育をテーマとした書籍の執筆に着手している。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は基礎研究期間と位置付け、主に文献調査と学会・研究会参加を行なった。COVID-19の影響でオンライン開催のものも多く、当初の予定よりも費用が抑えられた。また、オンライン参加を予定していたThe 42nd Annual International Conference on Critical Thinkingの参加を、プログラム内容検討後、参加をキャンセルした。 以上の理由で生じた次年度使用額は、(1)令和5年度12月にシンガポール国立大学 Centre for Development of Teaching and Learning 主催のHigher Education Campus Conferenceへの参加とシンガポール国立大学のCT育成実践実地調査の実施、及び(2)現在調整中の香港大学の実地調査の実施に使用する予定である。
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